【農業日記】TBSテレビを見て ~広島県ジーンバンクを存続させるには~


ジーンバンク(種子銀行)
広島県の自然に順応した野菜の種(品種)を保存・管理するジーンバンク(種子銀行)があります。ずいぶん前になりますが、私もジーンバンクに行ってモチキビなどの種を分けていただき、栽培したことがあります。
全国的に珍しく貴重な組織なのですが、このご時世、財政面と人的面からこの3月に廃止が決定されています。しかし、広島県の有機農業者を中心に署名などの存続要望活動が行われ、メディアにも大きく取り上げられて、なんらかの形で存続する流れが出来つつあります。

​広島県農業ジーンバンクを守る会

TBSテレビ
「伝統野菜の復活も支えたジーンバンクが廃止 1万8500点のタネはどうなる?有機農家らの要望は?専門家からのアドバイスは?」

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/384672?page=3

ジーンバンクのニュース

存続に向けての課題は、保存されている品種(固定種)が、大多数の消費者と流通業者の需要・要望と合わないことにあると思います。

農業に携わると分かるのですが、現実的に買ってもらえるのは、種子メーカーがお客様の需要・要望に合わせて開発した品種の農産物だということです。

では、固定種がダメなのかというと、全くそうではありません。

 肥料濃度が濃い化学肥料が一般的になる前から地域で受け継がれてきた在来種(固定種)は、少ない肥料を求めてがっちりと広く根を張り、健康に育つ特性を持っています。たしかに、育つのが遅かったり、大きさ形が不ぞろいだったり、あるいは特定の病気に弱かったりします。
しかし、野菜やお米を「商品」ではなく「健康な身体を育む食品」と捉えているお客様と、固定種の生産農家が繋がっていくことができれば、野菜本来の味をもつ野菜を召し上がっていただけます。
(メーカーの交配種では、味よりも得てして色・形・耐病性などの市場性・生産性が優先されています。)

 多くの自然農法、有機農法の農家は、できれば固定種野菜を栽培したいという思いがあるので、マルシェなどの対面販売の際に、応援していただけると心強いです。

ジーンバンクについては、遺伝子資源の保存から一歩踏み出して、在来種(地域の固定種)の販売事業を行っていただくと、自家採種が難しい小規模農家でも固定種栽培に取り組みやすいので、是非そのような方向にすすんでいただければと思っています。