高畑勲監督の「かぐや姫の物語」を見ました。
私たちが知っている昔話「かぐや姫」は、
月世界で罪を犯し、
穢れた地上で暮らすという罰を受けて地上に降ろされ、
赤子となって竹から生まれ、みるみる美しい姫に育つ。
かぐや姫の名のとおり、輝くようなその美貌に憧れる公家や天皇の求婚をなぜか断る。
そしてある8月の満月の日、刑期を終えた彼女を帰還させるべく月から迎えが到着、
姫は地上の出来事をすべて忘れ、月へ帰って行く。
という物語。
昔話「かぐや姫」と、古典文学の「竹取物語」は、竹取物語の方がずっと詳しく語られているけども、基本の筋は同じようです。
しかしどちらも「かぐや姫の犯した罪」が何かは謎。
その謎に対して高畑勲監督が導き出した回答「かぐや姫の罪と罰」がこの作品を独創的なものにしています。
悩みや苦しみのない穏やかな心を持つ人(仏)たちの住む月の世界(が象徴する極楽浄土)が魂が目指すべき世界であって、それに対して地上世界は、本当に宗教が教えるような苦しみや悲しみに満ちた穢れた世界なのか?
それならなぜ、私たちはこの世に生まれて来るのか。
高畑監督がかぐや姫に語らせた答えにとても共感しました。
ジブリの作品はほとんど全て見てきて、宮崎駿監督の作品はとても躍動感があって「冒険活劇、ファンタジー」として素晴らしくて大好きです。
でも比較すべきものではないかもしれませんが、高畑監督の「かぐや姫の物語」は、作品に込められた哲学や精神性の高さが、もう素晴らしくて、これまで見た全作品を押さえて、私的ベスト1となりました。